良寛の唄
良寛さんの唄を掲載しています
山頭火
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山頭火

へうへうとして 水飲んで来て寝る    

こ んなにうまい水が あふれている

乞ひあるく 水音のどこまでも      

降るまま 濡れるままで歩く

よい宿で とちらも山で前は酒屋で    

まったく雲がない 笠をぬぎ

石を枕に 雲のゆくへを         

ほろほろ酔って 木の葉ふる

山のしずかさへ しずかなる雨      

からだ投げ出して しぐるる雨

しとどに濡れて これは道しるぺの石   

すべってころんで 山がひっそり

こころつかれて 山が海がうつくしすぎる 

炎天をいただいて 乞い歩く

水音のたえずして 御仏とあり       

岩ばしる水をわたれば観世音たせたまふ

日ざかりのお地蔵さまの 顔がにこにこ 

山へ空へ摩訶般若心経

何を求める風の中ゆく           

松はみな枝垂れて 南無観世音

落ち葉ふる奥深く 御仏を観る


ふるさとは 遠くして木の葉

ここからふるさとの 山となる葉

ふるさとの山はかすんでかさなって

ふるさとは ちしやもみがうまい ふるさとにいる

ふるさとの 水をのみ 水をあび

うまれた家は あとかたもないほうたる

雨のふるふるさとは はだしであるく

故郷の 人と話したのも夢か

さてどちらへ行かう 風が吹く

この道しかない 春の雪降る

ぬいてもぬいても 草の執着をぬく

もりもりもりあがる 雲へ歩む


落ちかかる 月を観ているに一人

やっぱり 一人がよろしい雑草

焼き捨てて 日記の灰はこれだけか

窓あけて 窓いっぱいの春

うどん供へと母よ わたくしもいただきまする

月よ山 よわたしは 旅で病人でいる

一つあれば事足りる 鍋の米とぐ

天の川 ま夜中の酔ひどれは踊る

笠に とんぼとまらせてあるし

生きていることがうれしい水をくむ

水に影ある 旅人である

真青澄む水うらら 照るわが影悲し

飲みたい水が 音たてていた

落葉する これから水がうまくなる

腹いっぱい水飲んで来て寝る

月へ汲みあげる 水のあかるさ


春風の鉢の子ひとつ

あたらしい法衣いっぱいの陽があたたかい

笠へぽっとり椿だった

分けいっても分けいっても青い山

ならんで歩く石だたみすべるほどの雨

音はしぐれか

うしろ姿のしぐれてゆくか

まっすぐな道でさびしい

鉄鉢の中へも露

生死の中の雪ふりしきる

晴れて鋭い故郷の山を見直す

荒海へ脚投げ出して旅のあとさき

さくらさくらさくらさくらちるさくら

いちはやく山ふところのさくら一もと

さくらが咲いて旅人である


さくらが咲いてさくらが散って踊る踊る

葉桜となって水に影ある


月からひらり柿の葉

やっばり一人はさみしい枯葉

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