
(子陽先生の墓を訪う)
古墓 何れの処ぞこれ
春日に 草は芋々たり
これ昔 狭河の側
子を慕って ねんごろに往還す
旧友 ようやく零落し
市朝 いくたび変遷す
一世 まことに夢のごとし
首を回らせば 三十年
〔大意〕
古びた墓のあるこの場所は、何という地籍か知らないが、春の陽光をうけて、草がいちめんに生い茂っている。思えば昔、狭川のほとりに塾を開いていた先生を慕って、その膝下にねんごろに参じたものである。
今でも当時の学友たちも、どうやら落ちぶれてしまい、町のようすなども何度も変わってしまった。世の移り変わりは、まことに夢のようであるが、すでに三十年の月日が流れてしまったのだ。